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■現在の科学では説明できない超常現象・超能力

 世の中には、人問に備わった「五感」を越える超感覚を持ったり、 手を触れずに、物体に物理的な現象を引き起こす特殊な力を持つ者が存在する。大国が極秘で軍事利用を考えるほどの彼らの「超能力」とはどんなものなのだろうかっ?

※ 五感を超越した能力 「超感覚的知覚」

 基本的な研究対象はいわゆる 「超能力」であり、現象面から見て、感覚的なものと物理的なものの2グルーブに大別される。

 前者は「ESP(Extra Sensory Perceptionの略)」と呼ばれる。

 既知の感覚経路すなわち視覚や聴覚、臭覚、触覚、味覚の五感に依存することなく情報を得る知覚作用のことで、「超感覚的知覚」と訳される。

 

 「心霊治療」=既知の医学的方法によらずに病気治療を行う。

 「心霊手術」=通常の物理的・ 医学的方法によらすに手術して治癒させる。

 「ダウジング(水脈・鉱脈探知)」=通常の科学的方法によ らず、ダウジング・ロッド(占い棒〉や振り子を用いて地下の水脈や鉱脈を探知するほか、紛失物の捜素などにも応用される。

 このPK能力は、研究対象によって、①PK・MT(動いて いるものへの影響)、②PK・ST(静止しているものへ影 響)、③PK ・LT (生物への影暫)の3つのグループに分類されることもある。

※ マインド・バワーで物理現象を起こす「サイコキネシス」

※ 世界を驚嘆させた著名な超能力者たち

 


 

★インゴ・スワン=遠隔視能力と予知能力を持つアメリ力人超能力者。「リモートビューイング」の命名者でもあり、アメリ力中央情報局(CIA)で超能力トレーナーなども務めた。ベルリンの壁の崩壊を1年半前に予知してもいた。

★ローザ・クラショワ=旧ソ連の皮膚視覚能力者。目隠ししたまま皮膚で物を視る能力を発揮。旧ソ連科学アカデミーもその能力を本物と認定したが23歳で急逝。彼女にちなみ、皮膚視覚は現ロシアでも「ローザ・クラショワ効果」と呼ばれている。

★ニーナ・クラギーナ=旧ソ連のPK能力者。手を触れることなく眼前の物体を動かしたり、見つめるだけでカエルの心臓を停止させたりするなど数々の実験を行った。その模様はフイルムに記録されているし、旧ソ連を訪れた何人もの西側の科学者も目撃している。実験に立ち会った科学者の心臓を、本人の要望を容れて半停止状態にさせたこともある。

★サティア・サイ・ババ=インドのスピリチュアル・リーダー。 ヴィブーティー(聖灰)や指輪、時計、ネックレスなどのアボー ツ、物質化現象、心霊治療など複数の超能力を持ち「神の化身」と崇められた。

★孫暁嵐=複数の超能力を有する中国人女性。確認されているのはテレボーテーション能力に加え、自然開花まで2週問以上はかかる硬い蕾を15分程度で満開にさせる超速開花能力、揚げビーナツを両手で包み込み約15分で蘇生・発芽させる植物蘇生能力、アリの死骸を手にして25分ほどで蘇生させる動物蘇生能力の4種。

★張宝勝=世界で最強最大の超能力を発揮し、「神人」とも称されている中国人で、ESPとPKのほとんどすぺての能力を備えている。ある実験では、ガラス瓶に入れた螺旋状の鋼鉄線(長さ1メートル、直径1ミリで1トンの張力に耐える強度がある)を、見つめるだけで瞬時のうちに3つに切断したばかり か、そのうちのひとつを瓶外へ瞬問移勤させた。密室状態の部屋へ50キロもある砂糖入り袋をアボーツしたこともあるし、乗用車を10キロ以上も離れた場所ヘテレボートしたという話もある。復元能力ともいうべき奇怪な能力も備えており、名刺を細かく破って口の中へ入れ、ガムのように噛んだあと掌に載せてバンと叩けば、復元された名刺が瞬時のうちに出現する。バイロキネシス能力もあり、ブリンター用紙10枚を重ねた燃焼実験では、素手を紙の上に直いて数秒後、7枚目までがレーザー光線を照射したように焦げて貫通していた。

※ 米ソが目指した 超能力の軍事利用化

 とまれ、超能力の研究成果は一般に公表されることはほとんどない。恐るべきボテンシャルを秘める超能力を軍事利用すれば、想像を絶する驚異的な威力を発揮できるからだ。

 機密情報を盗み読むなどは序の口で、マインド・コントロー ルによって一国の首脳を意のままに操れるだけでなく、国民全体をそれと気づかれぬうちに洗脳してロボット化できる。

 PK能力を用いれば、コンピューター制御された敵国の軍事システムを無力化できるし、ミサイルなどの兵器の中枢部回路を切断するだけでその兵器を完全に破壊できる。極端な話、クラギーナがカエルの心臓を停止させたように、毒薬や武器を使わずに敵国の要人を暗殺することすら可能なのだ。

驚異的なサイコキネシスの持ち主で「超能力の女王」の異名を持つニーナ・クラギーナ。透視能力や心霊治療の力を持つ。写真は念動力でボールを操る様子。

 その理論の正しさがすでに立 証されているあらゆる科学法則 をもってしても説明不能な超常現象を研究対象とする学問を「バラサイコロジー(Parapsychology」という。日本語では「超心理学」。19世紀末、ドイツの心理学者マックス・デソワールが提唱した造語だ。

 1927年、アメリ力のデューク 大学に開設された超心理学教室にスコットランド出身のウィリアム・マグドゥガル教授が迎えられ、のちに「超心理学の父」 と呼ばれるようになるジョゼフ・バンクス・ライ ンとその妻ルイーザも参加して超心理学研究は本格化。1969年には超心理学協会の全米科学振興協会への加盟が承認され超心理学は科学の一分野として 広く認知されるに至った。

16ミリフィルムで撮影されたクラギーナの念動力実験の様子。テーブルの上に置かれたマッチ棒が、彼女の念動力によって動き、集まっていくのがわかる。

 現在、具体的には次のような超能力が確認されている。

 「テレパシー(遠隔精神感応)」=五感を使わずに他人や他の生物の考えや心を知ったり、自分の考えや心を相手に伝えたりする。マインド・コントロールもその一種。 「透視(クレアヴォヤンス)」 =五感を使わずに物理的な事象を知る。「千里限」と も俗称される。

 「遠隔視(リ モート・ビューイ ング)=いなが らにして遠隔地の光景を見る。

 

 「皮膚視覚」=目を使わずに皮膚で触れるだけで、その物体の色を識別したり、そこに書かれている文字や図形を判読したりする。

 「超医学的診断」=既知の方法に頼らずに医学的診断を行う。

 「予知(プレコグニション)=現 在の知識からの推測によらずに未来 の出来事を前もって知る。予言もこ の能力の一種。

 「リトロ(ポスト)コグニショ ン(逆行認知逆知/逆知/昔知/過去知)」=既知の方法によることなく過去の情報を得る。

 

 

(左)優れた念写能力を持つテッド・セリオス。偽装を疑われないために厳しい条件下で行われた実験で、数百枚もの念写を成功させた。

(右)セリオスが念写したエリザベス女王の顔。風景や人物だけでなく、過去の情景も念写できたという。

 「サイコメトリー(残留情報の読み取り)」=物体に触れるだけで、その物体の由来や歴史、それに関した事件、それにまつわる人々の過去・現在・未来に関する情報を読み取る。

(左)催眠状態でリーディングを行い「眠れる予言者」と呼ばれたエドガー・ケイシー。アトランティスに関する数々の予言を残したことでも知られている。

(右)ケイシーのリーディングを記録した膨大な量のテープ。

 一方、後者は「PK(psycho Kinesissの略)」と呼ばれる。既知の物理的作用によらず、マインド・バワー(精神力) の働きかけで物体や生物に物理的影響を与える超能力の総称で、「サイコキネシス」と通称される。邦訳では「念力」あるいは「念動力」。具体的な能力を列挙すると、、、

 「テレボーテーション(瞬間移動/瞬間遠隔移動)」=自分自身もしくは他の人物や物体などを瞬間的に別の場所へ移動させる。

 「アポーツ(物品引き寄せ)」=遠方にある物体を瞬時のうちに目前に出現させる。テレボーテーションの一種。

 「アスポーツ(物品消滅)」=アポーツの対語。眼前にある物体を瞬時のうちに消滅させる。

(左)透視能力とサイコメトリー能力を持つジェラールめクロワゼ。各国の警察の捜査に協力し、難事件の解決に貢献した。

(右)1967年2月にスコットランドで失踪パッド・マッカラムの情報提供を求めるポスター。クロワゼはパット愛用の聖書を手にしただけで、その死をいい当てた。

 「テレキネシス(念動)」=狭義の念力。通常の物理的手段によることなく、物体を移動あるいは変形させる。

 「念写(ソートグラフィ)」=マインド・バワーで未感光のフ ィルムや印画紙に何らかの像や文宇を感光させる。

 「バイロキネシス(発火)」=既知の方法によらずに火を発生する。

 「空中浮揚(レヴィテーショ ン)」=既知の物理的手段によらずに、自身もしくは他人や物体などを空中に浮き上がらせる。

 「バイロケーション(複在)」=同一人物が同一時刻に複数の場所に姿を現す。

(左)指先で文字や色を感じることができる皮膚視覚能力を持つローザ・クラショワが指で新聞を読んでいるところ。

(右)クラショワの能力はガラス越しでも発揮されねその下に置かれた紙に書いてある文字を読み取ることもできる。

 人智を超えた神秘的な超能力の存在ははるかな古代から知られており、その能力かとくに強い人々は「奇跡を行う人」「神 の使い」「魔術師」「悪魔の使用人」「霊能力者」、、、などと畏怖され、ときに異端者扱いされながら、人類史上にその名を刻んできた。ただ、彼ら超能力者のすべてを限られた紙幅で紹介することは不可能なので、第2次世界大戦以降の著名超能力者に限定して話を進めたい。

 ある程度年配の日本人に最も馴染みが深いのはイスラエル出身のユリ・ゲラーだろう。1974年を皮切りに何度か来日し、スブーン曲げなどのパフォーマ ンスで70年代の日本に超能力ブームを巻き起こした彼は、念力、テレバシー、透視、念写と多岐にわたる超能力を発揮した。

(「神の化身」と称されたサティア・サイ・ババ。さまざまなものを空中から物質化して取りだしたり、心霊治療などの能力を持っていた。

  その他、、、

★エドガー・ケイシー=自己催眠下で医学的診断をしたり、予知・透視を行ったりすることから「眠れる予言者」の異名を持つアメリカ人超能力者。「リーディング」と呼ばれる透視によって何千もの人々を病苦から解放したばかりか、過去から未来にかけての地球の運命を昔知・予知し、95バーセント以上という驚異の的中率を誇った。

★ジェラール・クロワゼ=オランダのサイコメトリー能力者で、その特異な能力を生かして各国の犯罪捜査や行方不明者捜素などに協力、数百件の難事件を解決に導いた。1976年に来日した際、行方不明の少女の写真の残留情報を読み取り、遺体のある場所を指摘して一躍有名になった。

★ペーター・フルコス=オランタ出身で、クロワゼ同様、サイコメトリーによる行方不明者の捜索を得意とし、欧米各国の警察に何度も協力した。ユリ・ゲラーの発見者として知られるアンドリア・プハリッチ博士に見出されてアメリカに移住し各種実験に参加。

★テッド・セリオス=アメリ力 の念写能力者。10代のころから能力を発揮し、何のトリックもないボラロイド・フィルムを使って遠隔地のさまざまな光景だけでなく、週去の映像すら念写してみせた。

ESPカードを利用したテレパシー実験の様子。20世紀半ばには、各国で超能力の研究が盛んに行われていた。

アポロ14号の乗組員エドガー・ミッチェル。アポロ計画ではテレパシー実験が行われていたことを証言している。

世界最高の「リモートビューイング(遠隔透視)」能力を持つジョセフ・マクモニーグル。アメリカ陸軍の「スターゲート・プロジェクト」に協力していた。

 

 たとえば、アメリ力国防総省は1959年6月25日から16日間にわたって極秘テレバシー実験を行った。実験はウエスチングハウス社に委託、同社の研究所の一室と潜航中の原子力潜水艦ノーチラス号との間で行われ、75バーセントという高い成功率を収めた。通常の短波・極超短波は水中で大幅減衰するので、潜航中の潜水艦と地上との交信は不能になる。代わりにテレパシーで通信しようとの試みなのだ。

 

 1971年には、アボロ計画に付随してのテレバシー実験も行われた。実験を試みたのはアポロ14号の乗組員エドガー・ミッチェルで、「テレバシーは宇宙船と地球の間でも通じた」と明言している。

 CIAが極秘実験し、のちに漏洩した遠隔視計画もある。暗号名は「グリル・フレーム」。元国家安全保障局スタッフのハロルド・ブソフと元スタンフォ ード研究所員のラッセル・ターグが中心になって行った実験で、判明しているだけでも2回の大成功を収めている。

 ために、かつての束西冷戦時代、アメリ力と旧ソ連の両超大国は熾烈な軍拡競走を繰り広げるなかで、超能力の軍事利用化の研究を国家最優先事業として極秘製に強力推進した。

 むろん、核兵器をもはるかにしのぐ、最終兵器とも呼ぶべきスーバー・ウエボンの開発さえ期待できる超能力研究の最前線の成果が一般に公開されるわけがないのは自明の理。だが、厚い軍事機密のベールの隙問を縫って漏洩する情報の断片がある。研究の全貌を窺い知ることはできなくとも、それら漏洩情報の断片をジグソーバズルのビースのように丹念に組み合わせることで、その影を浮き彫りにすることは不可能ではない。

1967年に旧ソ連で行われたテレパシー実験の被験者カール・ニコライエフ(左端)とユリ・カメンスキー(右から2番目)。ふたりはモスクワとレニングラードという800キロも離れた場所にいながら、テレパシー交信を行い成功している。

 ひとつは、旧ソ連力ザフ共和国(現力ザフスタン) のセミバラチンスクの核実験場地区の遠隔視。その後のスバイ衛星によって、遠隔視がきわめて正確だったことが確認されている。もうひとつは、アフリ力で行方不明になった旧ソ連の爆撃機バックファイアーの残骸を先に捜しだすというもので、超能力者は墜落現場から数キロ以内の場所をいい当てた。

 CIAとは別に、アメリカ陸軍も軍事遠隔視計画「スターゲイト・ブロジェクト」を極秘裏に推し進めた。日本でも知るひとぞ知るジョセフ・マクモニーグルも「被検者第001号」として参加、数々の功績を残したという。

 旧ソ連もしかり。1967年、数匹の子ウサギを乗せた潜水艦を深海に潜航させ、母ウサギの脳に電極を埋めてモスクワの実験室に待機させた。そして、あらかじめ決められた時刻に子ウサギを1匹ずつ殺していったところ、母ウサギの脳は子ウサギが殺された瞬間ごとに正確に反応したという。人問をウサギに変えてテレバシー通信実験を行ったのだ。

物体のテレポテーション実験にのぞむ孫暁嵐。植物を超高速で開花させたり、動植物を蘇生させる能力を持っている。

「神人」の異名を持つ張宝勝。中国が公認する超能力者で、透視、予知、テレポーテイション、物体の復元や燃焼などあらゆる超能力を備えている。写真は息を吹きかけるだけでカメラを壊す実験の様子。

張の念力で簡単に捻じ曲げられたフォークとスプーン。

 むろん、人間同士間のテレバシー通信実験も行っている。潜水艦と地上や、モスクワと約3300キロ離れたシベリアのノポシビルスク問の実験など 「確率論によって算出される値を上回る」成功率を収めたといわれる。

 ただし、1991年のソ連崩壊後、積み重ねてきた超能力研究の成果はアメリ力に買収されたともいわれ、詳細はいっさい不明だ。

 代わって、注目を集めているのが、アメリ力と肩を並べる超大国に急成長した中国だが、やはり研究成果はほとんど公表されていない。

 

 ただ、前出の孫暁嵐は中国軍事医学研究所に所属し、張宝勝は軍人の身分を付与され、国家公認の超能力者として身分保障されている。厳重な警備陣によって保護されていることから推測して、有力超能力者が軍部の管理下にあることだけは間違いないようだ。

学研ムー 2016年04月号 文 : 藤島啓章

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